むこうにいる人



ここで「むこう」というのは彼岸、つまりあの世のことです。ホラーとかミステリーとかのジャンルじゃなく、亡くなってしまった大切な人、大好きだった人をいつまでも想う気持ちや、むこうの世界にいる人との魂の交流を描いた作品です。せつないけれども心温まるお話が多いです。

・「メイおばちゃんの庭」 ライラント
・「ポプラの秋」 湯本香樹実
・「思い出のマーニー」 ロビンソン
・「西の魔女が死んだ」 梨木香歩

「メイおばちゃんの庭」は海外文学の中で(日本文学をいれても)もっとも好きな作品のひとつです。自分達の大好きな人が亡くなってしまった。自分も悲しいのに別の誰かの悲しみを自分じゃ癒してあげられないことをさらに悲しむんです。みんなが悲しいのにみんながやさしいんです。
梨木香歩のデビュー作(ファンタジー大賞受賞作)「裏庭」という作品が私はあまり好きではありません。そのせいでその後の作品も読まずにいたのですが、勧められて読んだ「西の魔女が死んだ」はとても心に滲みる作品でした。最初に出会う作品の影響って大きいです。余談ですが、私は村上春樹を一冊しか読んでません。何を読んでしまったでしょう?
2005.2.3

・「わたしのおじさん」 湯本香樹実
これまでに読んだのは、どれも「むこう」(死後の世界)に対して自分がいるのは「こちら」つまり『生』の世界でした。でも、この作品で主人公の女の子は「むこう」にいます。亡くなったんじゃなく、まだ生まれてないのです。もうすぐこの世に生まれようとしている女の子は、ずっと昔亡くなったおじさん(お母さんの弟)と今はまだ同じ世界にいます。少年のままのおじさんは、女の子にともだちとも兄ともちがう、ちょっぴり切なくて、でもやさしいかかわり方をしているように思えます。「おじさん」は弟とけんかしたまま永遠の別れを迎えてしまったことに未だに縛られている、そして母になることへの不安を感じているであろう「姉」を思いやります。そしてまた「むこう」(彼等にとってのむこう)の世界へ飛び出すことにちょっぴりの恐れとためらいを感じている姪っ子の背中をやさしく押してやります。
2005.10.2


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