平安

平安時代っていうのは日本史の中で一番おもしろい時代だと思っています。怨霊だとか魑魅魍魎の類いが人々の中に生息していました。人が信じていたのだから本当にいたのと同じです。怨霊というのは人の罪悪感が生み出します。時の権力者たちはかなりあくどいことをして伸し上がってきたり、帝でさえも肉親を蹴落としてその地位についたという後ろめたさがありますから、そういう人々は常に何か凶事が起こると亡くなった者の怨念じゃないかと怯えていました。きらびやかな宮中のようすも興味深いです。

「えんの松原」 伊藤遊
「鬼の橋」 伊藤遊
「薄紅天女」荻原規子   
「陰陽師」夢枕獏     
「今昔物語集」      

「えんの松原」は悪霊に怯える東宮を救おうとする少年の物語。古典や歴史の資料集なんかで内裏の見取り図を見ながら読むとさらに面白いです。悪霊の住処「えんの松原」は本当に宮中にあったんです。「鬼の橋は」亡くなった妹を探して古井戸を通って冥界と行き来する少年小野篁の物語。小野篁は実在の人物で冥界と人間界を行き来する能力を持っているといわれていました。勾玉三部作では私は「白鳥異伝」がいちばん好きなのですが、平安期のお話は最後の「薄紅天女」です。「陰陽師」のシリーズは大好きで全部読みました。安倍晴明と友人の源博雅の会話が絶妙です。晴明の庭の四季折々の描写も興味深く、私には読みどころ満載の小説なんです。「今昔物語集」は原文で読むのは大変ですが、現代語訳されたものなら面白く読めます。晴明も登場するのであわせて読むと面白いです。


コミック
「陰陽師」岡野玲子(原作夢枕獏) 

小説より難解な部分がありますが(原作より陰陽道に深く言及していますから)読みごたえあります。
コミックの方が、博雅の「いい人」ぶりがより際立っています。帝の孫というやんごとなき身分でありながら、ずっと身分の低い友人安倍晴明にタメ口であしらわれながら、自分では気付かずに晴明の支えになっている天然癒し系が私は大好きです。
2005,2,19



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